ES細胞の国立成育医療研究センターはどこにある?iPS細胞とどっちが良い?

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2017年9月6日、厚生労働省はES細胞を再生医療目的に作成したいという申請をあげた国立成育医療研究センターに対して許可をしました。京都大学に次いで2例目です。

この一見わかりにくいニュースですが、実は大きな意味を持っています。それは「ヒトの命を国の研究機関が税金を使っていじくりだした」という事実です。

ES細胞をいじくることについては特にキリスト教国で大きな反発があります。キリスト教保守派の支持を受けていたブッシュ前大統領はES細胞の研究に国の予算を出しませんでした。

しかし、不治の病に苦しむ人にとっては朗報であることも確かです。今回はこのニュースの内側をえぐってみます。


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ES細胞とは

Eはエンブリオという英単語のカシラモジで、意味は「胚(はい)」です。胚というのは「未発達」という意味の漢字で、医科学的分野では、卵子が受精して細胞分裂を始めた頃の状態を意味します。

つまり、頭とか体とかが出来上がる初期の胎児よりもまだまだ初期の段階です。植物学の世界では、タネの中にあって「これから芽になるパーツ」を胚と言います。カキのタネでいうと、うっすらと「もやし」みたいになっている部分です。

ヒトの場合は、受精後5~7日でこのエンブリオができます。細胞分裂によって6つくらいに増えている状態です。それを体外へ取り出して特別な環境の中に置いておくとエンブリオが成長します。

そのエンブリオの中にある何種類かの細胞のうち、「胎児の頭や体になる」細胞を「幹細胞(かんさいぼう)といいます。幹ですから「みき」という意味です。つまり中心とか「一番大切」という意味です。

 

胚のモデルです。

 

イラストの上の方に集まっているのががES細胞です。


魔法の細胞

この「幹」を英語では「ステム」といいます。つまりES細胞の「ES」は、エンブリオの中にあるステムという意味です。言いかえると受精後にちょっと細胞分裂を始めたやつの中にある一番キモの部分ということです。

これが発見されたのは1998年ということで、ドリームキャストの発売やフランスワールドカップのあった年です。つまりまだまだ新しい技術というわけです。

この「キモ」になる細胞は、いわば魔法の細胞です。肝臓や腸にもなるし皮膚にもなります。医療を劇的に進歩させる発見だったのです。しかしノーベル賞は与えられませんでした。その理由は「生命倫理に反する」からです。

この細胞を手に入れるために現在行われている方法は、不妊治療で多くの卵子を人工授精させたあと、実際に子宮へもどす受精卵以外の「捨てる受精卵」を使うというものです。その受精卵は「ヒトの原型」ではないかという意見があるのです。


中絶との関係

さらに、妊娠のごく初期で人工中絶をした場合、胎児がまだ完全に頭や体を作っていません。その細胞にはやはりES細胞が含まれているので実際に研究対象として使われているのです。1998年に発見されたES細胞はそこから採集されました。

今回(2017年9月はじめ)、厚生労働省からES細胞を治療に使う目的で作成することを許可をされた国立成育医療研究センターは、不妊治療で発生した不要な受精卵を元に作成しているとしています。そして両親には受精卵の提供に関して許可を得ているそうです。

日本よりもES細胞の研究に対する許可が早かった韓国では、以前に研究者の女性が卵子の提供をしたということで話題になりました。おそらく研究者の精子を使って受精卵を作って研究したのでしょう。もうサーモンの養殖ワールドです。

そのような「ヒトの命」にかかわるきわどい議論を生まないのがiPS細胞です。これは受精卵で無く、どんな細胞からでも作れます。皮膚から腸が作れるのです。だからノーベル賞をとったのです。しかし欠点があります。


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iPS細胞

それは、ES細胞ほど順調に腸などにならないという点です。時間もかかるうえに失敗も多いのです。しかも、細胞が分裂して新しい組織になっていく途中にガン細胞ができてしまう可能性があるのです。そしてその原因は不明です。

ですから、「命」の問題を抜きに考えればES細胞の方が遥かに使いやすい素材ということになります。しかしこれを自由に作れるようになれば必ず起こるのが「貧しい人による卵子の売買」です。

さらに、タイで問題になっているようなブラックマーケットによる「臓器売買」と同じく、「卵子売買」の闇市場が生まれる可能性があります。その際に、今疑われているような難民を騙して臓器を取るようなビジネスが生まれるかも知れません。

関連記事→ロヒンギャってどんな民族?難民が増えるとどうなるか分かりやすく説明してみた

しかしこの技術は、臓器移植か再生細胞しか生きる道がないという患者にとっては一縷の望みです。ガン患者や内臓の機能が生まれつき低下している難病患者にとっては朗報であることに間違いありません。


まとめ

国から認可をうけた国立成育医療研究センターはここにあります。

京大とここで行われている研究は、多くの人を絶望から救うでしょう。なかでも脳の細胞を再生させることでパーキンソン病の治療に使えるという情報は患者とその家族に希望を与えました。

また、生まれたばかりの赤ちゃんが先天性の疾患を持っていた場合にも細胞の再生を使った治療は有効です。

生き物の中で唯一、技術を進化させることのできるヒトは不可能を可能にしてきました。しかし原子力の発明が放射能の被害を生んだように、命を操作することで「神の怒り」に触れるような気がするのは私だけでしょうか。


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  • 2017 09.09
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