教員の長時間労働は部活動指導のせい?日当はいくらで代休はあるの?

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ブラック企業といわれる教育現場。平日の超勤もさることながら、土日の部活動指導によって休日が少ないことが問題とされています。

2017年4月には、文部科学省の実態調査が発表され、中学校教員の6割が過労死ラインといわれている月80時間以上の時間外労働をしていることがわかりました。

文部科学省は、通達を出して休日の大会引率は顧問以外の外部指導者でも可能とするとしました。また、週2日以上のノー部活デーを設けるよう呼びかけていますが、実態はほとんど変化していません。

この問題に解決策はあるのでしょうか。今回はそれらの点をまとめます。

参考→教員の長時間労働を文科省はどうするの?保護者は何時でも電話してくる?


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仕事より家庭

私は大学卒業後に一般企業へ就職しました。その後、教員採用試験を受けて合格し中学校の教員になりました。1989年でした。

会社員時代に家庭を持っていた私は、会社の専務から「仕事が一番の人は仕事が二流家庭を一番にしてほしい」と言われていたので子育てにも割と積極的でした。

彼の理論は、「家庭を犠牲にする人は仕事が荒れる」というものでした。それは次のような流れです。

家庭を犠牲にして仕事を頑張る→夫婦仲が悪くなるとか子どもが不登校になるとか非行に走るとかいった問題が生じる→仕事に集中できないばかりか、表情も悪くなる→顧客が離れ


仕事第一の弊害

その話を聞いた時の事は今でも鮮明に覚えています。その専務は顧客への気配りに長けている元トップセールスパーソンでした。いつもハンカチを2枚持っていて、一枚は顧客が必要な時にさりげなく出す人でした。

その上司はいつも笑顔で私たち新人にもやさしくしてくれました。

その教えを大切にしていて、家庭を大切にしない人に共通している点にいくつか気づきました。それは、仕事上のミスが増える(書類の提出期限を守れないなど)。同僚との人間関係が悪くなる(感情の起伏が激しくつきあいにくくなる)(自分はこんなにがんばっているという自負が鼻につく)。といったことです。


残業禁止

勤務時間は、厳格に管理されていました。一般企業なので労働組合には全員加入していました。サービス残業は全くなく、きっちりと残業代が出ました。在庫の棚卸しなどで休日出勤したら、1週間以内に代休を取らされました。

忙しくない(注文の少ない)時期には、退勤時間になると課長が「帰ってくれ」「残業代を払う余裕が会社に無い」と言って追い出されました。独身で交際相手のいない男性社員は、帰ってもやることがなく「小遣いが減る」といってぼやいていました。


朝からお祭り騒ぎ

そんな私が中学校の教育現場に入って最初に驚いたのが、勤務時間が提示されないことでした。採用初日は市役所で教育長から配属される学校を言い渡されて、指導主事さんの車で学校へ向かいました。

始業前の学校へ着いてびっくりしました。グランドには生徒があふれるくらいいるのです。そしてお祭りのように大声を出しているのです。活気に溢れていました

部活動の朝練習でした。私の出身中学校にはありませんでしたし、教育実習をした大学近くの中学にもありませんでした。しかしそこでは朝7時過ぎからほとんどの部活動が練習していたのです。


新人は掃除から

そして初日に先輩から言われたのが「新人は朝一番に来て職員室の掃除」というタスクでした。

ゴミ箱の中身を集めて捨てる。50ほどある机の上を雑巾で拭くといった作業を同期と二人でやることになりました。7時から部活動の朝練習があるので、6時半には出勤しないとダメです。

午後4時に授業とショートホームルームが終わると即、部活動です。終了時間は日没までです。採用された4月は午後6時でした。その後1時間くらいの雑務をして、教科書とノートを持って帰宅します。

帰宅すると子どもをお風呂に入れ、一緒にご飯を食べて絵本を読みました。たいてい一緒に寝てしまいました。しかし1時間くらいで必死に目を覚まし、次の日の授業を準備しました。

教科書を読んで、黒板に書く内容をノートにまとめ、小話のネタを書き込みます。要領がつかめていないのでやたらと時間がかかりました。ベストを目指せは朝までかかります。ベターで妥協し今度は朝まで寝ます。


衝撃の土曜日

初めての土曜日を鮮明に覚えています。

当時は午前中授業でした。

会社時代は隔週出勤の午前中勤務でした。すでに多くの企業が土曜日を休業にし始めていました。当然電話もあまり鳴らず、のんびりした空気で午前中を過ごし、12時になると退勤したものです。

ところが、その日は午前中授業が終わっても全員が職員室にいるのです。「誰も帰らないのかな」と思っていると、「そろそろ行きましょう」という声で多くの教員が立ち上がり、ぞろぞろと歩き始めました。「どこか行くんですか」と尋ねると不審そうな顔で見つめられ「食事ですよ」との返事。

あとで考えれば、帰宅していた先生もいたのですが、部活動の顧問をしている先生は全員食事に行きました。生徒達もグランドなどで昼食をとっていました。とにかく12時を越えても全く生まれない「終わった感」

本当に驚きました。しかし平日もそうでした。日没までは生徒がいるので1日が終わらないのです。そして時間の経過とともに「勤務時間」という概念が私の頭の中から消えていきました

残業手当は月に8時間分つきます。一日20数分です。部活手当は当時500円でした。


おとうさんこわい

日曜日は、昼食持参で部活動です。その学校はかなり荒れた歴史があり、当時も落ち着いているとは言えない状況でした。部活動が学校を落ち着かせる最大最強の教育活動となっていました。

そうして数ヶ月がたつと、ただいまーっと帰宅した私に対して子どもが「おとうさんこわい」というようになりました。

疲れていたのでしょうね。それに学校では家庭に問題のある生徒も多く、そのストレスを行動や服装で表現するので対応に四苦八苦していました。20代でしたから身体には無理が利いたのですが、精神的には限界を超えていたのでしょう。子どもは鋭いものです。


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限界を超えると変なゾーンに突入

2年目には、腹痛に悩まされる日が増えました。脇腹が重く、いやな痛みがつづくのです。病院へ行っても異常は無く、薬局で相談すると肝臓が悪いと言われていくつか薬を飲みましたが効果はありませんでした。

3年目にはバリウム検査で異常が見つかり、胃カメラでの精密検査を受けました。胃炎でした。

当時は会社時代の専務が教えてくれた「家庭第一」のスローガンを思い出す事もなく、自転車操業状態で日々を過ごし、すべてに丁寧さに欠けていました。授業は声が大きいだけ。部活は恫喝しているだけ。書類は期限を守れず、会議の企画は穴だらけ。

それなのに「自分はすごくがんばっている」という自負が反省を拒みました。最近ある先輩が「あの当時のあなたには、ついていかれへんかったわ」と言ってくれました。言い得て妙です。


当時の生徒さんは?

最近、当時担任した生徒さんに会う機会がありました。問題行動と服装違反でさんざん私の時間を奪った生徒さんです。なんと彼女は小学校のPTA役員をしており、その関係で再会したのです。

思い出すとイタい時代の生徒さんですが、「先生が厳しくしてくれたから今の私がある」なんて言ってくれるわけです。さすが関西。浪花節ですね。

しかし街で私を見かけると避けている元生徒さんも多いでしょう。私ならそうします。


変化

採用後5年して私は強引に組合専従役員にさせられ、現場を離れて「勤務条件」について気づき、「専務の教え」を思い出します。そして現場復帰後は、ある程度丁寧で、なおかつある程度スピーディに仕事をできるようになります。

教員となって25年となる最近は、部活動の正顧問をしながらも早めに帰宅し、授業には毎回手作りプリントを提供できるようになりました。部活動は休み無く長時間活動していた頃よりも好成績がでるようになりました。


ブラック勤務解決法(部活)

今は部活動について、勤務でなく自分の健康維持のためにやっていると考えるようにしています。

ですから、かならず一緒に活動します。仕事がしたくても放課後は部活動に行きます。

1日1回滝汗です。「こんなおっさんの相手をしてくれてありがとう」と感謝して終わります。一応、アドバイスもしますしお説教もしますが第一義が自分のためなので、ストレスがたまりにくいです。

そして自分の体力がしんどくなったらその日の活動を終了します。一緒に動いているのでよくわかります。10キロくらいのランニングなら楽勝でこなせる私なので、私がしんどくなったら部員は大ピンチです。

つまり1時間以内で終了するということです。まあ剣道なので待ち時間がありませんから中身濃くできます。日没までやるのが当然という現場では異色の活動です。

そして定期的にミーティングをして、部員達に活動の改善点を話し合わせます。部活動はあくまで生徒の主体的な活動のはずです。サッカーや野球のクラブチームと異なり、部活の先生は「監督」でなく「顧問」です。先生が引っ張ると重いものですが、部員達が走る背中を押すと軽いものです。

多くの部員は、部活動終了後に帰宅して週に何回が塾に行きます。そのあと学校の宿題と塾の宿題をやります。自分ならそんな生活だとストレスがたまってがまんできません。部活動を早めに終わって少しはのんびりする時間を持つことも大切でしょう。

顧問も早く帰ってリフレッシュできます。部活動が終わったら私も即帰宅します。

なお、休日の部活はあくまでもボランティアです。当然代休はありません。最近手当が一日3000円になりました。


ブラック業務解決法(授業準備や諸業務)

これはとにかく「今やるのはめんどくさい」「ちょっとお茶飲んで休憩したい」と自分のなかのリトル自分が叫ぶ時間にガツガツやるようにしています。3分でもすきま時間があれば、授業のプリントを1行作るとか、部活動の予定表を3日分作るとか、だいぶん先の定期テストの問題を一問作っておくとかです。

だらだらとした私語は原則しません。勤務時間はトイレタイム以外働きます。お茶も入れません。自分の水筒を持ってきて数秒で水分補給します。

1日に一コマ(50分)は必ず空き時間があります。そこは集中タイムです。もちろん病気の生徒に対応したり、電話の対応があったり校内巡視があったりするので、空き時間が無くなってしまうこともあります。そういうことも見越してどんどん先の仕事を進めます。

現在は教務主任と1年生と3年生の授業、支援学級の授業支援をしています。授業時間に組み込まれた毎週の会議も数時間あります。空き時間は多くありません。自転車操業的な仕事は禁物です。

先生の仕事は時間をかければかけるほどクオリティが上がるという面はあります。しかし、そういう先生も自分の人生を楽しんでほしいなと思います。

たしかに保護者の中には、もっと長時間の部活動をしてほしいと言う人もいます。しかし、やりすぎと思っている保護者もいます。

参考→教員の長時間労働を文科省はどうするの?保護者は何時でも電話してくる?


まとめ

日本の学校の先生は世界一働いているというOECDの調査結果がでました。とくに中学校の部活動が元凶と言われています。しかし外部指導者の導入はおそらく解決策にならないでしょう。

最終的には、部活動をいかにして「自分の趣味」と消化して「やりすぎない」ようにするか。諸業務をいかにして隙間時間に埋め込むか。会議の提案は細部まで作り込んで、いかに質問が出ないようにするか。といったあたりが鍵になると思います。

世界一働いている日本の先生が、teach から coach にうつりつつある世界の動きに気づけずにいます。それに気づけばもっと楽になります。


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  • 2017 06.04
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